オタノシミ

知られざるおっさんの日常。

【本】デス・ゾーン

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

 

河野啓著

 

集英社文庫

 

を読んだ。

 

★★★★★

 

ネットで活き、ネットで沈んだ人。

全力で駆け抜けた人だったんだな、とは思ったが、クラウドファンディング...これには正直、感心できなかったなぁ。合唱。

 

 

※未読の方で読むつもりのある方は注意

 

 

 

 

撮ってほしいのだ、そのペットボトルを。

富士山の玄武岩層が育んだ「水素珪素天然水」と謳っていた。

(著者)

 

 

「ちゃんと見て下さいよ!」

(標高7000メートル地点でウィー・アー・ザ・ワールド歌唱ギネスチャレンジの中継を見ていなかった東京のテレビマンに激昂する栗城史多氏)

 

 

栗城さんはエベレストに登頂できてもできなくても、近い将来山を下り、転職するのではないかという予感があったのだ。たとえば、政治家に。

(著者)

 

 

「一言叫んでいいですか? うんこ、 って。うんこ、食べたい・・・・・って」

(同行予定だったシェルパが飛行機事故で亡くなった四日後、Twitterに栗城氏が呟いた内容を著者に語る栗城隊副隊長森下氏)

 

 

シェルパにも伝わりますよね、『こいつはニセモノだ』って。『登る気はないんだな』って(後略)」

「プロであるシェルパに、『自分たちの仕事はなんなのか?』と疑問を抱かせるようなことを、ボクたちは絶対にしてはいけないと思う」

(栗城隊副隊長森下氏)

 

 

《いや、これは断じて単独ではない。栗城さんは占い師と一緒に山に登っている》

(著者)

 

 

「(前略)あれは挑戦とか心意気とは呼ばないね。妄想に駆られて行っただけだ。ドン・キホーテだよね」

(日本山岳・スポーツクライミング協会会長、八木原國明氏)

 

 

「死ぬつもりで行ったんじゃないかなぁ、彼(後略)」

「戦争で死ぬよりずっといいじゃないの」

(人財育成コンサルタント、黒木安馬氏)

 

 

「このルートは危ない、と思って、別のルートを作ってあげたら、『こういうふうにはやりたくないんだ!』ってすごく怒った」

(サーダー、マン・バハトゥール・グルン氏)

 

 

「こんなにシェルパ雇って、酸素吸っていても、番組になるの?」(マン氏)

「あんたには関係ないって。あんたは自分の仕事をしてればいいの!」(栗城氏)

 

「隊長、危ないよ。もう止めたほうがいいんじゃないですか?」(マン氏)

「ひどいこというなぁ....」(栗城氏)

「・・・ごめんなさい」(マン氏)

(マン氏と栗城氏のやりとり)

 

 

「(前略)栗城にはたぶん『普通に生きる才能』がなかった。(後略)」 

(大学時代の友人、亀谷和弘氏)

 

 

「(前略)栗城は『共有』の意味を取り違えて、『共有』って言葉に殺された気がするなぁ」

(大内倫文氏)

 

 

「長生きなんかしたくない、って。生きるって何だろう? 何のために生きてるんだろう? 生きる意味がわからない、って。怖いみたいですよ、生きるのが」

(著者に栗城氏の語った事を伝える、占い師X氏)

 

 

「山で死ぬ事が一つの目標とか、そんな言葉も聞いた事があります」

(占い師X氏)

 

 

「(前略)ああ、死にに行くんだ.....天国に一番近いところで、お母さんの近くで死にたいんだって...」

(栗城氏が帰り際、『今までありがとうございました。ボクはもうここには戻ってきません』と言った言葉を受けての占い師X氏の直感)